「壁掛け時計を取り付けたいんだけど、どうしたら良い?」など、壁にフックを取り付ける方法を質問されることが多いので、ちょっとまとめておきたいと思います。
壁の種類(材質)
まず、壁にフックを取り付けると一言で言っても、いろんな壁の種類があり、いろんな種類のフックがあるということ、ここを理解しておく必要があります。
そのうえで、まず壁の種類から見ていきましょう。
一般的な住宅の室内の場合、壁の種類(材質)は以下の4種類です。
- 石膏ボード
- 木質系
- 塗り壁(珪藻土壁、砂壁など)
- 鉄筋コンクリート
以上の4種類が一般的ですが、部分的に、木質系の下地や鉄骨がある場合もあります。
それでは、これらの見分け方ですが、塩ビや布のクロス(壁紙)が貼ってある壁で、押しピンを刺してみて白い粉がついてきたら石膏ボードです。
押しピンが問題なく刺さり、白い粉が付いてこなければ、木質系の壁です。ただし、構造用合板(コンパネ)の場合は堅すぎて押しピンが刺さらない場合もあります。
珪藻土壁や砂壁などの塗り壁は表面を見ればだいたい分かりますよね。
鉄筋コンクリート壁の場合は押しピンは刺さらず、手で叩くとコンクリートらしき鈍い音がします。
鉄骨部分は押しピンはもちろん刺さらず、手で叩くとカンカンと乾いた音がしますよね。
石膏ボード壁へのフックの取り付け
以上を踏まえまして、壁掛け時計などの比較的軽いものを吊り下げる場合のフックの種類を見ていきましょう。
石膏ボード壁の場合は、石膏ボード壁用のフックを使用します。
オススメは「かけまくり」(東洋工芸) というフック。
一般的な石膏ボード壁用のフックは小釘を数本打たないといけないので面倒なのですが、「かけまくり」はワンプッシュで取り付けできるので便利です。
なお、その他一般的な石膏ボード壁用のフックは、100円ショップやホームセンターでも購入できますが、100円均一のものはフック部分が樹脂製でちょっと大きめです。そのため、掛けたいものに適さないこともあるのでご注意ください(耐荷重=0.2kg~最大8kg程度)。
ちなみに、もっと重いモノ(10kg程度)を掛けたい場合は、木質系下地を探してそこに長い木ネジでフックを取り付けるのが最良の方法ですが、どうしても下地の位置以外に取り付けたい場合は、ドリルで1cm大の穴を開けて、中空用アンカー や「かべロック」を取り付け、そこに木ネジでフックを取り付ける必要があります。
木質系壁へのフックの取り付け
次に木質系の壁へのフックの取り付け方ですが、これは押しピン式や木ネジ式のもので問題ありません。
しかしちょっと重いモノ(5kg程度~)を掛ける場合、和室の場合は鴨居に取り付けるか、下地を探すか、「スピードミニ」を使って下地を作る必要があります。
塗り壁へのフックの取り付け
塗り壁は一般的に木質系壁や石膏ボード壁に左官処理している場合が多いですから、基本的にはそれらに準じてもらえば良いと思います。
ただし、塗り厚が結構ある場合もあります。そういう場合は下地を探してそこに木ネジで留めるよりほかありません。
コンクリート壁へのフックの取り付け
一般家庭でコンクリート壁があるのは集合住宅であることがもっとも多いと思いますが、その場合、コンクリート壁には穴を開けてはならないのが一般的です(共有部分となるので)。
もしマンションなどのコンクリート壁に壁掛け時計などを付けたい場合は、ライターであぶって接着するタイプのフックを使うと良いでしょう。ちなみに、同様のものは100円ショップでも購入可能です。
粘着式フック取り付け時の注意事項
以上が一般的な室内壁へのフックの取り付け方ですが、タイルやキッチンパネル、サッシ部分には、粘着式フックを取り付ける場合もあるでしょう。その場合は取扱説明を必ずよくご確認ください。
粘着式フックを取り付けたらすぐにモノを掛けたくなるものです。しかし、取扱説明書には「半日から24時間程度、放置してください」などと書かれていることが一般的です。
接着剤というのは案外、定着するのに時間が掛かるのです。
賃貸住宅などでのフックの取り付けについて
そもそもの話。
「ウチは賃貸だから壁に穴を開けるのは心配…。」と思われている方も多いことでしょう。平成10年3月に当時の建設省(現・国土交通省)がまとめたガイドラインで、まあ簡単に言うと、日常生活で必要と考えるに妥当なもので壁の下地を痛めるほどではない場合はちょっとくらい穴を開けてもOK、ということになっています。
つまり、石膏ボード壁用のフックを取り付けるくらいは全然OK。
木ネジは太さや程度によってはNGになる可能性もあり(と推測される)。
下穴を開けての中空用アンカーなどはおそらくNG。
…というのが私の認識です。
ちなみに、よく、和室の鴨居や柱ならOKという話を聞くこともありますが、壁紙の場合は張り替えれば表面は取り繕える一方で、鴨居や柱は穴埋めするのが難しい場合が多いので、私としては「壁の下地を痛める」部類じゃないかと思っています。
ただし、これはあくまでガイドラインであって法的には最終的には裁判所に持ち込まないと解決しない可能性もあり、国はあくまでも民事不介入の原則に従っており、賃貸契約は自由契約が原則。
大家さんなり不動産屋さんに確認しておく必要がありますし、契約時の重要事項説明書はきっちり読んでおいたほうが良いでしょうね。
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