「床が抜けそうなくらい、本がたくさんあります」…
そういうお宅にも今までに何件かお邪魔してきました。
特に圧巻だったのは京都の町屋(=かなり古い日本家屋)にお住まいの大学教授のお宅で、私が2階に上がると、本当に床が抜けるんじゃないかと恐怖しながら作業したことがあります。
一般人であれば、所有する本はほとんどが古本屋で買い直すこともできるし、自分で所有せずに図書館で読むことだってできます。しかし、教授、博士、研究者、医者などの職業の方の場合は、専門書が多いため一度手放すと再度入手することが困難で、そのためどうしても所有する本が多くなりがちです。ちなみに、小説家、建築家なども本や資料が多いです。
それはともかく、「いったい、どれくらいの本を置くと床が抜けるのか?」。
これはもちろんその家の築年数や構造、材質、家具の置き方などにもよりますが、非常に難しい問題です。実際に抜けてみてはじめて、「これ以上はアウト!」ということが分かるのではないでしょうか。
先日、たまたま、興味深い記事を見つけました。
”何冊で床抜け?――「本崩れ」にまつわる意外な難問【前編】”
(日経BP SAFETY JAPAN / 建築&住宅ジャーナリスト 細野透氏)
やや難解な文章ながら、詳細は是非お読みいただきたいのですが、まず、一番の要点を抜き出すと、”住宅の床は通常、1平方メートル当たり180kgの重量(=積載荷重)に耐えるように設計されている”ということ。
1平方メートルに体重60kgの大人が3人まで乗ってもOK(※)。
6畳間(=9.9平米)だと同じく大人29人まで乗ってもOK。
※本文中では大人3人でアウトとなっていますが。
まず断っておきますが、私は氏の主張を否定するつもりは毛頭ありません。
アプローチの方法、結論とも、すべて正しいと思います。
すべての住宅に住む人、特に本をたくさん持っている人には、これくらいの危機意識を持って欲しいと思うばかりです。
また、木造でも鉄骨造でも鉄筋コンクリート造でも、柱に近い床ほど頑丈であり、逆に遠いほどそうでなくなるものです。
平米あたり180kgというのはあくまでも最低値であって、柱や梁に接した場所はそれ以上であると推定されます。
あくまでも「どれくらい本を置けば床が抜けるのか?」という疑問に対し、数字遊びをしながら私なりの解釈で、皆様のお役に立てればと思うところです。
そういった「お断り」をした上で、敢えて申し上げますと、たとえば幅90cm×奥行30cm程度の本棚を置いた場合、1平米あたり180kgの耐荷重がある床の上では、その書棚を設置する面が耐え得る重量は48.6kgとなります。
(1平米:180kg=0.9米×0.3米:Xkg で求められる)
そこで、寸法は微妙に異なりますが、本棚では軽い部類と考えられる「エースラック1890」を設置する場合、この商品の重量は29.9kg、左右に分かれますが1段に収まる標準的な単行本が78冊、その重量は約22.9kgとなり、本棚+単行本78冊で、既に52.8kgとなってしまい、上記の耐荷重48.6kgをオーバーしてしまいます。
ちなみに、エースラックの棚板1枚あたりの耐荷重は10kgであり、そもそも棚板左右2枚での耐荷重20kgを超えてしまいます。これより頑丈な本棚を使うと、下手をすれば本を1冊も収めるまでもなく、本棚を置いた時点で床の面積当たり耐荷重をオーバーするという、大変困った事態になってしまうわけです (´ヘ`;)
そもそも住宅の床の耐荷重が平米あたり180kgという話…説得力のあるような数字ですが、これだけを切り出して考えると、冷静に考えればおかしな話になってしまいます。
わたくし、体重は64kgありますが、両方の足の裏の面積はだいたい0.054平米です。
1平米あたり180kgの耐荷重の床であれば、0.054平米あたりの耐荷重は9.72kgという計算になり、体重64kgの私が歩けば床はボコボコに穴が開くということになります(苦笑)
言わずもがな、そんなわけはありません。
もちろん、私が片足立ちしようと、ジャンプしようと、子供をおんぶしようと、1年中おなじ場所でじっと立っていようとも、家の床が抜けることは普通はあり得ません。
ただし…家の床がたちまち抜けることは考えられませんが、家の構造、築年数、その他によっては、徐々に床や家全体が傾いていくだろうことは考えられます。
そしてそれは実際にそれが起こってみない限り、誰にも予測できない。
いや正確に言えば、スーパーコンピューターでも使えば実際には予測可能かもしれませんが、まずそこまでする人はいないでしょう。
私は建築士ではありませんので正確なところはまったく言えませんが、よほど古い家に、図書館並みの量の本を収めない限り、実際には家の床が抜けることはないと思います。
が、家を長く大事に使おうと思ったら、やはり無理しないに越したことはないであろうと思います。
また、平米あたり180kgを杓子定規に解釈するのではなく、1つの部屋は通常、4本以上の柱や梁に支えられた面であるから、たとえば6畳間(9.9平米)の床の耐荷重は1,782kg(単行本6,077冊相当)という数字を念頭に、あまり重量が偏った配置をしないように心掛けるとか、そういう観点で見るのが妥当と考えるべきなのでしょう。
(つまるところ冒頭に参照した文章の後半の通り)
コメント
暑中お見舞い申し上げます。
私も大学教員です。涙を飲んで本を大量処分しましたが、やはりまだたくさんあります。
教科書(語学の教員です)をA4やB5のファイルボックスに入れて棚にしまいたいのですが、ファイルボックスがぴったりはまり本棚ってなかなかありませんね。ずっと探しているのですが。。。
なぜファイルボックスに入れるかといいますと、窓辺に置きたいので、本棚を移動するために棚を空にしやすくいしたのです。1冊ずつ出すのが大変なので。。。
エースラックの31cmサイズはB5ファイルボックスの奥行277mmに対して微妙。46cmサイズは奥行あり過ぎで、重たくなって動かしにくい。
キャスター付きだと床が傷みそう(2階に設置)。
オーダーするか自作するしかないのでしょうか。。
日本三毛猫さま
こんにちは!毎日お暑うございますね~^^;
ファイルボックス!良いですね!
私はファイルボックスこそ最強の収納グッズじゃないかと思いますので、書類にしろ書籍にしろファイルボックスを活用することは良いことだと思いますね。
さて本棚とファイルボックスのサイズの件ですが、エースラックの奥行31cmタイプの奥行内寸は278mmですので、B5ファイルボックスを普通に置いた場合の奥行277mmにはピッタリだと思うのですが、いかがでしょう?
ちなみにA4ファイルっボックスの場合は奥行が317mm程度ありますのでエースラックの奥行31cmタイプだと4cmほど飛び出してしまい、同じく46cmタイプだと11cmほど余してしまいますが。その場合はエースラックの奥行31cmタイプにA4ファイルボックスを縦置きするか、ジッパーファイルを使うのが良いかもしれません。
収納マン様、ありがとうございます。台風、だいじょうぶですか?
調べましたら大洋さんのオーダーストッカー木棚は、棚板の奥行内寸が33.7cmで、エースラックと同じような感じでオーダーできるようですね(高さは限定)。かなり気になります。
棚はできれば軽い方がいいのです。肘掛け窓なので、掃除をするときにどうしても棚をどける必要があります(でないとレールの掃除が)。本棚屋さんなどでオーダしてもそれほど高くはないのですが、無垢の集成材ですから重たくて。。。
なので高くつきますが、50cm程度の幅のものを2本買おうかと思ってます。模様替えもしやすいですし。
なお、拙宅は築80年超の家で、窓と襖と障子だらけで棚を置く場所が限定されるのです(でもそのかわりとっても涼しいです)。
いずれにしても、ホームズにエースラックが置いてあるので一度見てこようと思います。
ところでファイルボックスですが、私は机の引き出しにバインダやノートをこれに入れています。まとめて出せますし、すっきりします。
日本三毛猫さま
ご心配いただきありがとうございます^^私の実家(近所)では強風のため隣家の木が倒れて倉庫の屋根に穴が開いたそうですが、両親はもちろん無事でした。
さて大洋さんのオーダーストッカー木棚・・・OSTWという品番のシリーズですね。調べて初めて知りました!
構造的にはエースラックの仕様がそのまま踏襲されているようですね。悪く言えばチープですが、良く言えば必要十分で合理的。もちろん安全性や実用性は確保されていると思います。このサイズにしては比較的軽そうなので、日本三毛猫さんのニーズには合いそうですね^^
エースラックをみてきました。う~ん、微妙ですね(扉の隙間とか)。ただ、すごく軽いです。奥行31cmハ幅45、高さ88cmのラックなんて、片手でも持てるくらい。掃除がしやすい。
パイン集成材のオーダー見積もりと比べて悩んでいます。
日本三毛猫さま
私が思うに、エースラックは「国産組立家具の王様」ですね。ヨーロッパ製の組立家具はベタ芯で重いですが国産の多くはフラッシュ構造(中空構造)で軽い。一方で品質はコストパフォーマンス重視のため所詮はカラーボックスの親玉です。扉の隙間は調整可能な場合もありますが、設置場所によっては全体に歪みが生じて修正できない場合もあると思います。
頑丈さはパイン集成材のほうが上でしょうね。ホワイトパインだったら比較的軽いでしょうが棚板がたわむ可能性もあります。まあオーダーで頼む場合はほとんどイエローパインなのでその心配は少ないと思いますが。
>>所詮はカラーボックスの親玉<<
確かにニトリのカラーボックスと大差ありませんでした。サイズさえ合えば、カラーボックスの方が安上がりですね。
ヨーロッパの家具は確かにとてつもなく重いです。見ただけで圧倒されます。職人さんに頼むようないい物の場合、注文してから届くまでとんでもない時間がかかります。友人いわく、「取っ手の金具1個調達するのに三ヶ月かかった」とぼやいてました。
日本三毛猫さま
いわゆる三段カラーボックスは材料の効率が良く、大量生産でコストダウンできていますから、収納家具の中では圧倒的にコストパフォーマンスが高いです。それと比べるとどうしても他の収納家具は高く見えますよね。
取っ手の金具の話、分かります^^;輸入物ならザラでしょう。むしろもっと掛かることもあります。国産品や国内に在庫のあるものでも1個だけというわけにはいかないこともあるので、なかなか簡単ではないですよね。