現在の日本の家具業界において、ニトリとイケアはまったく無視できない存在です。そのため当然、当ブログでもこの2社について言及することはありますし、個人的には足を運ぶことが少なくありません。
お客様との会話の中でこの2社に話が及ぶことも多々あり、その場合は基本的には誤解のないように丁寧に説明させていただきます。しかしながら、ブログだとどうしても誤解を生じたり、無用な不安を抱かせてしまうところもあるようですので、改めてその2社について私の個人的な印象を述べておきたいと思います。なお、さらに混乱、誤解を招いた場合はご容赦ください(苦笑)
ニトリについて
一言で言うと私はニトリを「家具業界のユニクロ」だと思っています。
私が説明するまでもないですが、ユニクロはファーストリテイリングが運営するアパレルショップです。世間ではファストファッションの代表格とも言われるそうですが、ファストファッションとは最新のデザインのアパレルを大量生産し、ワールドワイドに販売するカテゴリーのことであり、普遍的なデザインを主に扱うユニクロはファストファッションではない、という風に私は理解しています。
また、ファストファッションは縫製や素材が粗悪と言われがちですが、ユニクロの場合はその点では必要十分な品質を備えていると個人的には思っています。
つまり、あくまで個人的な印象で言えば、ユニクロは低価格帯で、品質は必要十分、デザインは無難であり、ニトリもそれに近いイメージだということです。
また、ユニクロとの比較では分かりにくければ、「家具を買うならニトリ」と言うのは、
一昔前に「車を買うならカローラ」と言うのに近いように個人的には思います。
決して悪い意味じゃありません。売れている=支持されている、という信用がある一方で、
「他にも選択肢はあるはずですよ」ということです。
ですからニトリは「お、ねだん相当」。「だいたい予算内だし、上を見たらキリがないから…。」というご意見も確かにその通りですし、高級車に乗っていても服はユニクロだっていう人もいます。また、限りあるお金ですから、すべて良いものを揃えればキリがありません。
でも、モノ作りに関わったことのある人なら、どんな業界であれ分かるはずです。本当に安くて良いものと比べられて負けるのなら仕方ないですが、品質に目をつむって値段だけで比べられたら、モノ作りはダメになってしまいます。
野菜を買おうと思ったら店頭に中国産しかない…もはや家具業界はその状態に近いと思います。
他の人がどういう選択をするかはともかくとして、それが自分や自分の子供にとっても当たり前になるというのは想像するとちょっとコワイですよね。
そうならないためにも、もっと色々と見比べたうえで、満足のいくお買い物をしていただければと私は思っています。
イケアについて
先ほどの例えで言うと、イケアはアパレル業界で言うところのファストファッションに近いと私は感じています。つまり、低価格帯で、品質はイマイチ、でもデザインは良いということです。
ただ、より正確に言えば、別に手抜きをしているというわけではありません。イケアなりには品質基準がちゃんとあるんだろうと思っています。ただその品質基準が日本の場合とはまたく違うのです。
ところで組立家具ってどんな印象をお持ちですか?見た目に安っぽい、すぐ壊れる…などというところでしょう。もちろん、必ずしもそうとは限らないわけですが、イメージとしてはそんなところだと私も思います。
意外に思われるかもしれませんが、IKEAに限らずヨーロッパの箱物家具というのは基本的に組立家具です。もちろん完成品もありますが、主流は組立式です。よってイケアの家具も同じ思想で作られています。
ただ、形状とか、表面材というものには気を配るのですね。だから見た目は良いわけです、日本の組立家具と違って。ちなみに、ヨーロッパ製のソファーの多くも、日本製に比べると表面は良い素材ですが中身は本当に粗悪です。
また、日本の家具メーカーはPL法を基に訴えられるのがコワイので、安全性には非常に気を遣って設計しています。一方で、海外では自己責任という意識が強いためか、日本のメーカーほど安全第一ではありません。
IKEAは優秀なデザイナーを多数抱えているんだろうと思いますが、単に構造計算できないだけなのか、経営陣から安全性よりもコスト優先という圧力を受けているのかと思うほど、シンプルすぎる構造に驚かされることが多いです。
ですので、私はお客様には極力、イケアの家具はオススメしません。日本メーカーなら私が全責任を持ってオススメできるというわけではないですが、わざわざお客様を生命の危機に晒してまでオススメできないと考えているのです。
ものすごくカッコ良くて、かなり安い車があったとして、その車が高速道路の真ん中で突然停まるような車だったとしたら、それを買ったり、人に勧めることができるでしょうか?それと同じです。
もちろん、イケアの家具がすべてそうだというつもりは毛頭ありません。そういう家具もあるというか、多いというだけの話ですし、家具というものは車ほど生命の危機に直結しません。
そういう意味ではちょっと例えがひどすぎたかもしれませんが、それくらいの覚悟、自己責任の意識は必要だろうと個人的には思っています。
コメント
家具については、凄く身に染みて思うことがあります。
私の亡父は、材木関係の仕事をしていたので、「木」に関しての目利き・こだわりは相当なものでした。
そのせいで、父親が買ってくる家具には悩まされました。
紫檀の大きな洋服ダンスと座卓、この二つを買って来たときには、心底「このアホ親父は……!」と思ったものです。
案の定、築100年を越える古い我が家で、紫檀の洋服ダンスを置いた部屋の床が落ちました。(苦笑)
幸い、平屋なので事故はなかったのですが、その後の始末と家の修理に頭が痛かったという思い出があります。
なにせモノが紫檀ですから、洋服ダンスを動かすのにも、大の男が3人かかりでかろうじてなんとかなるというシロモノです。
紫檀の座卓にいたっては、私一人では動かせず、母親と二人がかりで移動できるようなものです。
いくらモノが良くても、生活の中で扱うのなら限度があると、つくづく身に染みて思います。
家具も最後には始末するということを考えたら、おのずと買うものについて考えてしまいます。
お金のあるなしではなく、自分が扱えるという意味で「分相応」ということも大事ではないかと思うようになりました。
家具というのは、見た目・価値だけで選ぶと後悔することもあります。
なお、阪神淡路の大地震以後は、件の紫檀の家具は、普段、家族が生活する部屋には置いていません。(あれが倒れたら本当に死にますから……)
MAOさま
紫檀の大きな洋服ダンス・・・^^;
総無垢ですか?だとしたら私も家具屋で見たことがない値段でしょうね・・・。
それはもう立派でしょうし、殺人的な重量であることは明らかですね。
お父様からしたら、私が思う「良い家具」もきっと鼻で笑われるでしょうね。それこそ私自身、身の丈か、ちょっと背伸びしたくらいのものを価値観の中心に置いているように思います。
木のことを熟知している大工さん、腕が立つ大工さんとお話しすると、一般の消費者のニーズとズレているように感じるときが多いですが、その点で言えば、本文にあるような私の意見は同様に消費者ニーズとズレているかもしれませんね。
それはともかく、値段の安い高い、重量の軽い重い、デザインや質の良い悪いにかかわらず、やっぱり安全性は家具を選ぶうえで非常に重要だということですね。
IKEAとニトリの品質差。長年ずっと気になっていたところなので、記事の内容を興味深く拝見しました!
最近では、無印良品とケユカの品質差も気になっています。
もし考察があれば、お時間のあるときに記事にしていただけると嬉しいです(*^^*)
まちさま
ありがとうございます^^
無印良品とケユカですね。了解です。早速、明日にでも記事にしたいと思います!
お返事ありがとうございます!
なんと…お時間のある時で大丈夫ですよ!
ご検討いただき感謝申し上げますー!
まちさま
こちらこそリクエストいただきありがとうございまーす^^
のちほどアップしますね♪
こんばんわ。IKEAの家具ですが、ドイツでは「安物」とみられ、1人暮らしの学生が使うイメージです。
友人宅に寝心地のいいソファベッドがあるのですが(高い)、「IKEAで買うと安いけど、やっぱりよくない」と言ってましたね。
日本三毛猫さま
ありがとうございます^^
よく分かりませんが、ドイツの方は日本人と同様に工業製品には高い品質を求めるイメージがありますので、やっぱりそういう反応が多いんですかね~?
ちなみにソファベッドというと、日本では単身者が使うことが多いため座り心地も寝心地も悪い安いものばかりなのですが、やはりヨーロッパには良いものがあるんですね!
ドイツ人は家やインテリア(と掃除)に世界一、力をいれる人たちです。子供の頃から色や配置、いろいろ考えています(その分、衣と食には無頓着)。
家具も家や部屋全体のコーディネートを考えて買いますね。センスがあるけれどお金がない人は、蚤の市その他で気長に物を探します。
また、ソファベッドですが、あちらのベッドは硬めが多く、腰痛持ちの友人もホテルのソファーベッドに快適に寝ていました。向こうのソファベッドが気に入った母は「いいのあれば買いたい」ともうしているくらいです。でも、日本にはなかなかないですね。
日本三毛猫さま
そうなんですね~。
私には懇意なヨーロッパ在住の友人がいないので詳しいことは分かりませんが、そういうモノとの関わり方やセンスの磨き方はたいへん憧れます。
日本と違って街並みの雰囲気を変えない保守的な考え方も素敵ですよね。日本は表面だけ洋風化してしまって・・・もちろん悪いことだけではないのですが・・・内面のほうに見習うべきことが多いと常々思います。
ソファーもベッドも硬めのほうが良いですね。長時間でも疲れないし、耐久性も高いし。私が腰痛持ちだからそう思うだけなのかもしれませんが・・・^^;
初めてこのサイトにきました。
ニトリで先日、ベッドを買いました。
マットレスはフランスベッドのものを揃えたり
いいものは、やはり高く売っています。
ベッドフレームが安く買える・・それだけですね。
でも、接客を見ているとバイトばかりで専門知識はなし。
レジ打ちすら満足にできないバイトだらけでした。
お店もなんかケミカル臭でくさい。
いったいなにつかってるんだろうって感じでしたね。
ベッドのマットは高いものを買ったので、
このままニトリにしておきますが、
あそこは雑貨屋さんなんだなと思います。
二度と大物は買わないと思います。
イケアも980円の間に合わせの座卓を買いましたが
座卓の高さとか、いくら980円とはいえ、
ひどいなって感じです。
イケアは店頭でも見ましたが、組み立ても
めんどくさいし、本当に雑なつくりだと思います。
ニトリもイケアも間に合わせの家具を買うお店という認識です。
接客がとにかくだめですよ・・。
ベッドや家具はもの見て買わなきゃだめだと
つくづく思いました。
ねこやなぎさま
はじめまして^^
ねこやなぎは買い物上手ですねー。
ベッドはぶっちゃけ、ダブルデッキのタイプを除いては、フレームなんて何でも良いんですよね。
マットレスさえ良いものを選べばフレームが何であれ寝心地には影響しません。
おまけに、フレームはよほどのことがない限り壊れませんから。
極端な話、10万円の予算があれば、9万円をマットレスに費やし、1万円のフレームを選ぶのが賢いと思います。
ニトリは雑貨屋さん…というのもご指摘の通りだと思います。
というか逆に、下手に家具の知識があったら、あんなところでは働けないと思いますよ(苦笑)
いまIDC大塚家具が苦戦しているのはまったく逆のパターンですよね。
ハイエンドクラスの家具の知識が豊富なのに、なまじ庶民が足を運ぶようになったら、その知識も宝の持ち腐れです。
IDC大塚家具の場合は逆にパートさんを増やさないといけないと思います。
イケアの980円の座卓というのは、LACKサイドテーブルのことですね(笑)
天板高は45cmありますから、日本の40cmと比べるととても高いです。
ソファーにしろ、ダイニングテーブルやチェアにしろ、日本人の体型にはちょっと合わないですよね。
収納家具にしても、90cmモジュールの日本の家には合いません。
もっとも、日本人でも背の高い人はいますし、家もメーターモジュールを採用しているところもありますから、一概にイケアの家具が合わないというわけではありません。
けれども、そういうケースはどちらかというとレアケースなので、多くの日本人は知っておくに越したことはないでしょう。
ねこやなぎさんのような賢い消費者が増えれば日本はもっと良くなると思います^^
IKEAに日本レベルの安全基準が無いとは思い込みでは?
逆に日本のメーカーでIKEAほどの細かくリコール出してるところありますか?
そもそもIKEAは欧州だけでなく世界中で展開しているので、むしろ国内メーカーより基準は厳しいです。
IKEAが日本人に合わない、組み立てた家具が長持ちしないのは、単に日本人のDIYレベルが低いからという理由です。
水平器を使わない、仮止めしない、対角線順に締めない、と基本すら知らないのですから。
後、LACKは我が家でも10年使っていますが、「高すぎる」と言われてもそもそも座卓用にデザインされてないのですから当たり前でしょう。
本当に賢い消費者はまず必要な家具のサイズを購入前に把握し、店頭でも商品のサイズを確認します。
これもIKEAのレビューで本当に多いですが、フライパンなら「IHで使えないって知らなかった」、デュベカバーなら「日本の布団とサイズが合わなかった」、照明器具なら「電球が付いてないと知らなかった」と、事前に確認すればわかる上に店頭のラベルにも全て書いているような事で☆1を付ける”賢くない”消費者の多いこと!
最後に、今時はインスタを見ればわかりますが、IKEAを学生が使うものなんて偏見も甚だしいですよ。
BAUHAUSが好きなのでよくドイツのインテリアを見ますが、マルセルブロイヤーやミースファンデルローエの名作家具とIKEAの家具を上手にミックスしてコーディネートされている部屋はかなり多いです。
そもそもIKEAを利用しない人はどれがIKEAの商品か?なんて判別つかないはずですしね。
犬の散歩さま
貴重なご意見ありがとうございます。
以前はクライアント宅でIKEAの家具を組み立てることが何度もあった程度ですが、現在は私も複数のIKEAの家具を使用しているので、より実感として分かる部分があります。
犬の散歩さんが業務としてIKEAの家具を扱っていないのでしたら、おそらくトータルの数は私のほうが上でしょう。
その上で、元々日本の家具メーカーに勤めていた人間から申しますと、やっぱりIKEAの家具の設計はおかしいです。
グローバルで有名な殺人チェストとか、設計を変更することなく未だに販売していることも不適切ですよね。
中国では返品&返金に応じたのに、日本では特に対応しないという、ダブルスタンダードもどうかと思います。
日本の消費者の無知なレビューについては私も同感のところがあります。
ただ、日本の消費者全員がそうでしょうか?
むしろ、ほとんどは非常に有意義なことを書いてくれていると思います。
逆に、欧米のレビューのほうがひどいと言うか、使い方をまったく分かっていないんじゃないかと思うこともあります。
いずれにせよ、私の考えを単なる「思い込み」とおっしゃるのであれば、それを犬の散歩さんの「思い込み」で論破しようとするのではなく、データで示していただけるとありがたいです。
まずは簡単なところで、ホルムアルデヒド放散量あたりはどうでしょう?
ちなみに、「IKEAを学生が使うものなんて偏見」とおっしゃいますが、それ私の発言じゃないですから。
むやみに噛みつかないでください。
イケアの洋服ダンス(自宅にて組立を依頼)と整理ダンスを購入してしまった者です。見かけに騙され悔しい思いです。
子供たちや妹に経験を話してもダメで、誰にも共感にしてもらえず今日に至っていました。このブログでようやく「ほらね、言ったとおりでしょ」と少しだけですが気持ちが収まりました。
ありがとうございます。
。。。因みにイケア渋谷で苦情を言いましたが、若くて綺麗なお姉さんは、当方の貧しい身なりからクレーマーと思ったのか、何も対応策は示しませんでした。
クレーマーは何故生まれるかといえば、ろくな商品じゃないから文句を言いたくなる、訳で、悪いのは消費者ではないのに、最近はクレー厶を言うのは犯罪だとばかりの風潮には飽きれるばかりです。
怒りの消費者さま
はじめまして^^
「何があったんですか?」という感じですが、期待したほどの耐久性がなくすぐに壊れてしまったとかでしょうか。
もしくは、ちゃんと組み立ててもらったはずなのに、あとで破損などの不良に気付かれたとか。
IKEAはホームページでも店頭でも安心安全を誇張していますが、あれはまったくのウソです。
あの会社は息を吐くようにウソをつきます。
問い合わせても不都合なことは「ホームページに書かれている通りです」というような杓子定規な返答しか寄こしません。
クレームのメールを入れたり、コワーカー(店員)に声を掛けても、回答はデタラメなことが多く、苦情はすべてスルーします。
真に受けていたらとっくに日本から撤退しています。
そんなわけで、私も事あるごとにIKEAをディスっていますが、真に受けずに痛い目に遭う人は少なくないようです。
所詮、家具のファストファッションですから、使い捨て家具だと割り切っている人が多いのでしょう。
明らかに時代に逆行していると私は思うのですが、それを打ち破るほどIKEAのイメージ戦略が優れているのだと思います。
ビッグモーター然り、レオパレス然り、自民党然り、マスコミが大々的に取り上げるような問題を起こして初めて世間は認知してくれます。
私のような弱者はそのときに「それ見たことか」とほくそ笑むだけが楽しみです^^;